7.「ぐうたら株式投資法」概論

株式投資ジャングルの歩き方-地図とコンパスを手に入れる。-

1.電車は、また来る!

ぐんぐん株価が上昇しているとき、1週間で株価が2倍になることもあります。

そういうときは、もっと株価が上昇するのではないかと考えて、買う注文をしてしまいそうになりますね。

でも、そんなときは危険です。株価が天井である可能性が高いのです。
天井とは、「株価が最も高い点」をいいます。山でいえば「山頂」といっていいでしょう。

ここで買ってしまうと、後は坂道を転げ落ちるように株価が下がっていくのを指をくわえてみるだけ、という悲惨なことにもなりかねません。

実は私にも痛い経験があります。

株式投資をはじめたばかりの2001年のこと。アデランスの株式を4,500円で100株購入しました。当時のアデランスは高収益かつ参入障壁の高い理想的企業として、投資の書籍に取り上げられるほどでした。株価も上昇傾向であり、まだまだイケルトという希望を胸に投資しました。
ところが、投資直後より株価はじりじりと下がり続けました。

そこが天井だったのです。私は「また上がるのではないか」と淡い期待を抱き続けました。

それが毎日毎日100円、200円ずつ株価は下落。

最終的には2,000円で落ち着きました。

私はその直前の2,600円近辺で売却しました(損が出るのを覚悟で売却することを「損切り」といいます。)。

結局、20万円近くの損害の確定。その年のそれまでのキャピタルゲインはすべて無くなりました。
駆け出し投資家のころでしたので、ショックは相当大きかったのを覚えています。

そのショック醒めやらない頃、ある投資に関する本を読んでいて、こんな考え方を見つけました。


「電車はまた来る」


というものです。

今回は乗り過ごしたとしても、しばらくすればその株価は下がってくるかもしれないし、もっといい銘柄を見つけるかもしれない。そう思って高い株価の電車は見送ればいいのだ、と。

大投資家ウォーレン・バフェットも似たような趣旨の発言をしています。株式投資は「見送り三振の無いバッターボックスに立つこと」といいました。

三振が無いのだから、絶好球を待って打てばいいのです。焦って不得意なボール、すなわち高い株式をつかまないことです。チャンスは再びあなたに訪れるのです。

2.人の行く裏に道あり花の山。

株式投資は、株価が下がっているときに株を買い、株価が上がったときに株を売れば、その差額がキャピタルゲインとして不労所得となります。

すなわち安く買って高く売ればいいのです。極意はこれひとつです。

しかし、中には株価が上がっている株を買う人がいます。

株価が上昇中の株は人気のある株です。高い値段を出してでも買いたいと考える株です。

来年好業績の株とか、少し前には、インターネット事業を始めるというだけで株価が上昇した時期もあります。

そういう株を好んで購入する人が大勢います。むしろそういう人のほうが多いかもしれないくらいです。株式投資の世界はちょっと変わった世界なのです。

八百屋で安い野菜を買いたい人と、ブランドのバックを高いからこそ買いたい人が同じ市場に同居しているのです。

ぐうたら株式投資は、お買い得品を見つけて買う方法をとります。

みんながダメだ、といって安値で投げ捨てて去っていった株を拾います。

いい会社でも、株価が爆安になる場合があります。

それを見つける目と、思い切って投資するタイミングが重要です。

これを昔の人はうまい言葉で言い表しました。


「人の行く 裏に道あり 花の山」


人が良く通る道にはもう花が咲いていない。花が満開に咲いて残っているのは、人のあまり通らない道にあることを意味します。

すなわち、株式市場で生き残るには、大多数の人と逆の行動をとらなければならないということです。

大勢の人が見捨てた株を拾い保有する。大勢の人が戻ってきたときに、その人たちに高値で買ってもらう。

その繰り返しが不労所得を作ります。

3.マクロ情報よりミクロ情報。

投資に関する本などには、

「日経新聞を毎日読め」だの、

「アメリカ経済の動向が日本経済に影響を与え、日本の企業の株価にも影響される、よってアメリカ経済をウォッチせよ」、

「為替の動向を知れ」

といったアドバイスが書いてあります。


いずれもマクロ経済の動向です。

そもそも、株式投資は、ひとつの会社を選択して投資するものですね。


したがって投資する会社の業績が株価を左右するのです。

マクロ経済が悪くても、投資先の会社の業績が良ければ、株価は上昇します。

株の解説書は、マクロ経済の動向を見るために、日経新聞を毎日読みなさいと書いているものも多い。

ぐうたら株式投資では、そういう情報には振り回されず、ぐうたらします。

会社の業績だけ、集中して見ます。

毎日日経新聞をチェックしたらぐうたらではなくなってしまいますから。

 

5.良いものを安く買う。

上がっている株はクリスマスにケーキを買うようなものです。

一年で最もケーキが高い時期に、並んでケーキを買うわけです。

ぐうたら株式投資は逆です。

ケーキは正月に買います。

大半の人は、 正月は餅を食べるので、ケーキは食べません。

クリスマスシーズンが過ぎて、売れ行きは落ちるので、値段も下がっています。
でも品質は同じです。

腐っているわけではありません。

同じ新鮮なケーキを安く買うのです。

株式投資もそういう安くなったタイミングで買いにいくのです。

結局「良いものを安く買う」主婦の買い方ですね。

これが堅実な投資です。

決して、クリスマスシーズンにクリスマスケーキを並んで買ったりはしません。

ある種、あまのじゃくではあります。

6.分散投資と集中投資。

卵をひとつのかごに入れてはならない。

なぜなら、そのかごを落としてしまったら、あなたの持っているすべての卵が割れてしまうからです。

これが一般的な株式投資の常識です。

これを「ポートフォリオ」といいます。もともとは、画家が自分の作品を入れておくファイルを意味します。ファイルが複数のページを閉じたものであることから、分散投資した銘柄の全体を指す言葉として用いられています。

 

しかし、ぐうたら投資は逆です。

「よくかごを選んで、安全なひとつのかごに全ての卵を入れよ。」

という方法をとります。

安全なかごに入れれば卵は全部食べることができるからです。

その安全な投資先を選ぶために、会社のビジネスをじっくり研究します。

 

7.株式投資はアマゾンのジャングルに踏み込むこと。

今更ですが、株式投資にはお金を失う危険がつきまといます。

危険が伴うという意味で、ジャングルを踏破するようなものです。

事前の 十分な準備が必要です。


どの株をどうやって買ったら良いか、いつのタイミングで買えばいいのか、いつ売ればいいのか。。。

これらをつかんでいなければ、何となく投資して、何となく売って、儲からないから止めます、という結末になるのは目に見えています。

私の周囲でもそのような人が大勢います。

アマゾンのジャングルに踏み込むには、知識を備えておくこと。

知識があれば、もし一つの銘柄の投資に失敗して、いくらかのお金を失ったとしても、何故失敗したか事後的に反省し、分析ができます。

それが経験となります。

しかし、知識が無ければ、何故失敗したのか分かりません。

勘で買い、勘で売ることの繰り返しです。

私の周りでも、友人が儲かるといったから購入した、損した…。

はっきりした自分の投資基準=コンパスを持っていない人が大半です。

自分なりのコンパスを持つことが重要です。

8.ジャングルの探検は、コンパスに従って歩く。

あなたは投資経験を積んで自分なりの投資基準を持ったとします。

実はその次にもっとやっかいなイベントが待っています。

それは、「コンパスにしたがって歩くことができない。」

ということです。

「そんなことってあるの?」

と思われるでしょう。

ごもっともです。

でも非常によくあることです。

たとえば、自分なりの「コンパス」として「1000円で買った株が、5%値下がりして950円になったら、それ以上、株価が下がって傷が深くなる前に、売ってしまおう。」

という基準を持っていたとしましょう。

でもこれがなかなか守れないのです。

自分で決めた基準であるにもかかわらず、守れないものなのです

「明日になったらあがるだろう、明後日になったら反発して元に戻るだろう」

などと自分に言い訳をして、だらだらと株を持ち続けて、損切りするタイミングを失ってしまいます。

自分の決めた基準を如何にに守るか?

これがジャングルで生き残る秘訣です。

 

9.「株式投資はいくらからはじめたらいいのですか?」

一番多くメールでいただくご質問です。

そういう場合、私は

「あなたの総資産の額をはじき出してください。

そうしさんは、おおまかにいって「預貯金の総額」と考えていただいて結構です。

その中から当面使用する用途のある金額を除外してください。

その結果残った資産を「余裕資産」と呼びます。

その余裕資産の20%ぐらいからはじめられてはいかがでしょうか。」

とアドバイスさせていただいてます。

 

あなたも株式投資を始められる前に、是非計算してみてください。

 

私の場合、総資産が300万円で余裕資産が200万円からはじめました。

その20%なので40万円です。

オンライントレードに慣れて、恐怖感がなくなるまで、40万円の範囲内で売買を続けました。

あなたが300万円の余裕資金があれば、60万円ぐらではじめるのがいいでしょう。
もし60万円が40万円に減少したとしても、残り240万円は手付かずで健在です。

ちなみに私は、現在総資産の80%を株式投資で運用しています。

ちょっとやりすぎかなとも思いますが。

ぐうたらなので買ったまま値上がりを待って寝かせています。

毎年の配当金はしっかりもらってます。

10.どうやって銘柄を探しますか?

「会社四季報」という本があります。

まずこれを買ってください。

これはいってみればジャングルのガイドブック、動物図鑑です。

ジャングルにさまざまな動物が生息しているように、日本の株式市場にも隠れた面白い会社がたくさんあります。

四季報にはその会社の生態がコンパクトにかかれています。

年に4回、改訂されるから「四季報」というのですね。

 

上で「隠れた面白い会社」と言いましたが、上場企業なのに「隠れた」というのもヘンですが、実際、証券会社の証券アナリストもフォローしていない、見放された(?)銘柄があります。

1週間に1度しか株式の売買がなされなかったり。

上場していながらもそういう開店休業状態の会社もあるのです。

そういう中で、どういう会社を選べばいいか、悩むところです。

何しろ、3000社以上あるのですから。

そこで、お勧めなのが、「あなたが興味を持つ会社」を選ぶことです。

具体的には、あなたが車好きなら、トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、スズキ、をまず見る。

次にそれぞれの販売会社で上場しているところを見る。

その次に、トヨタ車体、といった部品会社を見る。

その次に、部品の元となった素材会社を見る、という順序です。

自分の興味を中心に、チェックし比較する会社を広げていくわけです。

 

たとえば、ある車種がその年に爆発的に売れれば、メーカーのその年の決算は好決算となり、販売会社も業績が良くなり、部品会社も部品が売れて業績が良くなり、といったように経済が連動しているのです。

自分が好きなもの、サービス、自分が勤めている会社のライバル会社、といったように、自分が興味があって 詳しい分野の株式に投資すれば、へたな証券アナリストよりよほど正確に株価が予想できることでしょう。

「株式投資の本にこれからあがりそうだと書いてあったから」

「株に詳しい友人が奨めていたから」

という理由で買っても、あなたの投資経験にはなりません。

自分の思考過程が無いため、経験値が蓄積されないのです。

 

11.豪華客船炎上。 [ マイルストーン投資法 ]

私の失敗談を聞いてください。

あれは2003年の9月のことでした。株式投資を初めて2年ほど経ち、自分でも慣れてきたのかなーと少しずつ自信を持ち始めた時期でした。

思い切って三菱重工の株を平均330円ぐらいで1万株購入しました。

「もうこれ以上下がらないだろう」と考えて買いました。
その矢先。

1週間後ぐらいだったでしょうか。


三菱重工長崎造船所で建造中の世界有数の豪華客船「ダイヤモンドプリンセス号」が出火し、翌日から株価が暴落し、250円ぐらいまで落ちました。

単純計算で80万円ほどの含み損です。

(三菱重工の損害予想額は500億円。年間利益が吹っ飛びました。その後、損害保険により支払われることが判明して会社の損害は軽微なものとなり、株かも回復しました。)

今でこそ笑い話だけど、当時はボーゼンとして仕事も手につきませんでした。

それから数日間は、頭の中を炎上した豪華客船のイメージが占有してましたね。

 

投資を始めたばかりの頃は、一攫千金を狙ってドカンと値上がりしそうな株を買いたくなるものです。

若気のいたりというわけでもないのでしょうが。

そういう欲をかいたときに限って、翌日に赤字の修正決算が発表されたりして、投資した株が暴落して、途中で売り損ねて下がりきったところで泣く泣く処分売りをして大損パターンですね。

まあ、そのまま持ってても維持費はかからないんですが。
儲かっていて、配当してくれる会社なら、年に1回か2回配当は入ってきますし。
これを「塩漬け」株といいます。

私は、2度とこんな悲劇を繰り返さないために、いい会社を見つけても、バーンと一回で投資するのはガマンして、初回投資はチョビチョビと最低単位の5万円とか10万円から始めることにました。

数回に分けて投資すること、これを「マイルストーン投資」といいます。

少し投資して様子を見つつ買い増していく投資法です。

これなら10万円で購入した株が暴落して半額になっても、痛いことは痛いけど「勉強になった。」で済みます。

少なくともショックで会社を休まなくて済みます。

欲をかいちゃって「一発儲けてやろう」として、1度に自己資金の大半をつぎ込むと、1度のダウンで2度と立ち上がれなくなります。

上の6.「分散投資と集中投資」で述べたように、1銘柄に集中投資することはお勧めしますが、一度にひとつの会社に投資することはお勧めしません!

12.ぐうたら株式投資はアイデアが重要

ぐうたら株式投資は技術ではなくアイデアが重要です。

ぐうたら株式投資の本質を理解していないと、オンライントレードは賭け事・ギャンブルの一種である域から一生出ることはないでしょう。

確かにデイトレードのように毎日毎日売買を繰り返す投資方法もあります。

派手で忙しく、ハイリターンですがハイリスクです。

しかしこの方法で最も儲かるのは、デイトレーダーが落としてくれる手数料を稼ぐ証券会社さんです。

ぐうたら株式投資は、テクニカル投資とか、チャートがどうとか一切やりません。


株式投資の王道、本質を行きます。

すなわち株式投資は会社の一部分を保有することであるから、

「市場で割安に放置されている『お買い得株』を安く買って保有する。」

「高成長の会社の成長の果実を取る。」

という考え方をします。

この発想が全てです。

リクエストがあれば、いずれ「ぐうたら株式投資各論」を書こうと思っています。